LF plasmajet

LFマイクロプラズマジェット

大気圧で低温なプラズマを生成する方法は多数あるが、単電極方式による低周波大気圧マイクロプラズマジェット(以下、LFジェット)と呼ばれる方式のプラズマ装置は、構造も簡単で手軽に低温大気圧プラズマを生成できるシステムであり、指で触れる程度のプラズマが生成出来る。

LFジェットの電極構造は単純であり、ガラス表面に取り付けた電極に低周波高電圧(~10kV、~10kHz)を印加することで、長く伸張するプラズマジェットが得られる。ガラス管形状を工夫することで10μm~50mm程度の直径のプラズマ生成が可能である。一般的な大気圧プラズマジェット装置は、誘電体パイプ内部で生成した高温のプラズマをガス流により押し流して冷却して利用するアフターグローと呼ばれるタイプがほとんどであるが、LFジェットの放電装置自体にはグランド電極を備えず、高電圧側の単電極のみから構成されるというユニークな構造を有しており、大気中のガス流束内部における部分放電によりプラズマが維持されているために、長く伸張したプラズマジェットが簡便に得られる。

誘電体バリアによる希ガスの放電であるため大気圧グロー放電と類似の放電機構で安定化されている。構造が単純、低消費電力であるため、内蔵した乾電池で動作が可能なハンディー型のプラズマ源を、1000円程度の部品代で製作できる。このLFジェットという簡便な装置にて発生した“冷たいプラズマ”を用いる事で、いろいろな新しい応用が広がってくることは想像に難くない。
このように、“単純な構造”で“安価な実験装置”により、“冷たいプラズマ”が得られるという点で、LFジェットは非常に優れたツールであり、筆者の様なプラズマ物理研究者が、化学や生物学など異分野の共同研究者と協力し、様々な新しい応用に関する研究を進めている点で大いに役立っている。

「LF plasmajet」への5件のフィードバック

  1. 物質の第四状態と言われる電離気体状態(プラズマ)については、素人乍大変興味が有りました。普通は直流プラズマは高温で手で触るなんてとても出来ないと思っていましたが、先生の低温プラズマのお話にびっくりしました。素人の質問で非常に恥ずかしいのですが、何故高温に成らずに手でも触れる低温のプラズマが発生出来るのですか??機会があったら説明して頂けると嬉しいです。失礼致しました。

    1. 間欠的に放電することで、平均エネルギーを下げてしまえば、ガス温度が室温から上がることを下げれます。大気圧低温プラズマを生成するには、他にもアフターグローを使う方法などがあります。

  2. 僕もこの実験をやりたいと思っていますが、低周波高電圧はどのように得ていますか?教えて下さい。
    また、細かい注意点や部品の素材についてなども教えていただければ幸いです。

    1. 高電圧は危険なのでちゃんと分かってる人と一緒にやらないと事故の元ですよ。慣れると簡単なのですが、慣れないとエライことやっちゃいますので。

      1. 安心して下さい。きちんと学校の物理の先生の監督のもと実験しています。
        今は、冷陰極管インバーターを使って実験していますが、全くうまく行きません。一応10kV程度は出ているようなのですが(周波数は30~60kHz)、どのような点を改めるべきでしょうか?

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