「研究」カテゴリーアーカイブ

久々の更新で近況報告

またしばらくブログの更新をやっていませんでした。サーバーを更新したので久々に書き込みをしてみることにする。新規サーバーは10TB×8台の構成のサーバーです。

2018年度末は相変わらず忙しかったです。卒論、修論が終わったと思ったら、ベトナムへ行って、そのまま久米島へ行って、数日ラボに来ての東京出張でした。いろいろな人と知り合い、ディスカッションをして盛り上がりました。

応用物理学会(2019/3)ではPoster Awardをいただきました。あまりこの手の賞は貰ったことなかったので無冠の帝王からの陥落(?)です。国際会議の招待講演は2,3回/年はやれるようになったんですがね。

プラズマ殺菌の分野では世界のトップを走っているつもりですが、いろいろ研究を進めた結果、プラズマ処理水中の有効成分が過硝酸(HOONO2)だというのがわかり、化学合成法を用いての利用を始めています。プラズマという物理的な手法で作るより効率がすごく良いんで。ただ、この過硝酸という物質による殺菌は過去に全く行われたことがなく、我々のオリジナルな技術となっています。古くから知られているけどマイナーな化学物質の新規利用ということで、新しい殺菌剤としてポテンシャルは高いです。かなり幅広い特許も権利化済みで、実用化を目指して頑張っています。実用化のためには産学連携が必須ですが、この過硝酸による殺菌技術は多方面での利用が期待できるので、複数の企業さんとコンソーシアムを形成して研究を進めています。

大阪大学では、協働ユニットという複数の企業さんとの共同研究を束ねる制度があります。この制度を使って、過硝酸応用研究開発コンソーシアムというのを作りまして、企業さんの参加を募っています。現在で3社が参画を決定していまして、まだいろんな企業さんと交渉を行っています。利用分野が異なれば、企業さん同士の利害関係がありませんので、仲良くみんなで頑張れるのかと考えています。ご興味のある方はコンタクトください。アカデミアの方もかなり多くの研究室に参画していただいており、反応基礎過程からきちんと研究を進めております。工学研究科では初めて使う制度なので、学内でもいろいろな調整が必要で大変でしたが、とりあえずは動き出して段取りも決まりましたので、これからはスムーズに物事が進むはずです。契約手続きにもかなりの関係者がいてるので、調整はなかなか大変でしたが・・・

というわけで、新年度も始まり、元号も令和となりますが、また心機一転頑張っていきましょう。

(株)島津製作所から共同研究の成果を製品化

長らくやってきた(株)島津製作所との共同研究が製品として世界同時発売となりました。ガスクロマトグラフ用の検出器をプラズマの技術を使って作ったもので、TraceraというシステムGCとして発売を行っています。従来の検出器をいろんな面で上回る性能を達成出来たので製品になりましたが、これからもさらなる性能向上を目指して開発を進めます。

 

Tracera PR

tracera

プラズマ講習会

あちらこちらと共同研究をしているのですが、共通事項が多いのでまとめてプラズマ講習会を開きました。前にも筑波大でやったことがあるのですが、今回は阪大にて1泊2日で行いました。関東から3つの研究室、関西から1つの研究室から学生さんが派遣されてきて、いろいろなノウハウを一気に教え込みました。あと何個かの研究室も希望してたのですが予定があわなくてね。

つきっきりでしたので時間をかなり使いましたが、共同研究が進むと期待しています。みなさん優秀な学生さんたちばかりなので良かったですわ。たまたま来てた学生さん同士が同じ高校の1学年違いだったりと、いろいろな出会いもありました。今月は関東の2カ所の新しい共同研究先でプラズマ装置の立ち上げ作業です。いったい共同研究先が何個あるだろうって感じですけど、ユーザーの裾野が広がるということは良い感じです。

ここ1週間ほどで少しお高めの実験装置を2つゲットしました。うふっ。良い感じです。

プラズマ講習会に集まった面々

プラズマのバイオ応用

プラズマのバイオ応用はいつの間にか流行り物になってきているような気がする今日この頃である。6年ぐらい前に核融合プラズマの研究から、たまたま水にプラズマを当てたらおもしろいんじゃないかというコンセプトで、プラズマ応用の世界でデビューしてから、しばらくはいろいんな種類のプラズマ生成するのに専念していました。そんなときに、たまたまバイオマテリアルの先生と分子生物学の研究者(友人)と出会って、バイオマテリアルと生物への応用という全く関係の無いそれぞれの応用研究を始めることになりました。はっと気がつくと、両方ともバイオ応用だったんですがね。

バイオマテリアルの方は、単なるプラズマを道具として使ってもらうだけではなく、プラズマ処理に適した材料開発を行うなど、本当に専門家同士がコラボしないような成果も結構でました。生物の方は、たまたまですがとんでもない殺菌技術を開発することに成功して、人間の消毒応用に利用しようとして、歯科医とかと連携を組んでがんばっています。たぶん、この殺菌技術の開発は研究者人生で二度と無いレベルのグレートなものだと思ってます。

そんなこんなで、すこし早く始めたというのがあって、まぁまぁえぇ感じで研究が進んでいます。ここ3年ぐらいは年に10回ぐらいお呼ばれで講演させてもらっています。いつの間にかなんだかんだ共同研究者がどえらい数に増えてきていますが、まあ、学際領域的な分野なので、いろんな知識を集める必要があって仕方ないんですよね。しかも、みんな結構、その筋で優秀な人ばかり!お互いの専門知識を出し合って結果を出せば、どちらの業界からみても良い仕事になる可能性が高いです。それをさらに進めて、3者でガンガンに議論して成果をだすことができたら、誰も追いつけないおもしろい研究ができるんじゃないかとニヤニヤしています。ホントにできるのかは別にして、とりあえず妄想するだけは自由ですから!異分野連携はうまくいくとすごくおもしろいです。キャラ的にそういうのが得意だというのに、こっちの業界に来てから気がつきました。なかなかお互いの常識が足らないために相互理解が困難ですが、うまくやればうまくできます。そしてオリジナルな研究もきっと産まれるはずです。学会発表をみてると、何十年も昔からやられているような話もちらほらと目に付きますけどねぇ。

で、なんでこんな話をふと思いついて書いたかというと、そういう原稿を化学工学会とやらから頼まれていて、バイオ応用ってお題目でざーっと書いたりしてたからだったりします。

先週、宮古島で開かれたバイオイメージング関係のワークショップへ行ってきました。バイオイメージング用の粒子を作る人(材料屋さん)、使う人(お医者さん)、評価する人(画像処理屋さん)が集まるという、すげーおもしろい会でした。たまたまバイオイメージング用の粒子の共同研究をしている先へ2月に打ち合わせに行った時に、その話を聞いて、行ってみることにしました。昼も夜も盛り上がってスゲー楽しかったです。何個か共同研究をしようと盛り上がって帰阪することになりました。さらに異分野連携ができそうで楽しみです。昼間もきちんと研究をしておられますが、夜にしゃべっておもしろい人達ですし、そういうメンツと共同研究をできる事は幸せです。僕はどちらかというと夜が専門ですが・・・

宮古島の東平安名崎にて

宮古そば

復活

最近、てんで更新をしていなかったので、思い出したように更新してみることにする。twitterでちらほら書いたりはしてるのですが、やあhりブログの方が形に残って良いかもです。去年の7月からの更新になりますが、大きく変わったこととと言えば、JSTのA-STEPの支援を得て、自分のラボでバイオ実験室を立ち上げて、技術スタッフを雇用してかなり本気でバイオの研究を始めたってことかな。プラズマの実験室でバイオラボを立ち上げれたので、かなりおもしろい事ができつつあります。苦労もたくさんあるんですがね。そんなわけで、研究室の雰囲気がどんどん変わってきてるかも。

他に何があったかなと思い出しながら書いていくとするか。プラズママップを作ったというのがあって、プラズマ・核融合学会から賞をもらいましたね。いろんな学会から代表して集まって、研究じゃなくてボランティアな感じの目的で集まったので、結構おもしろい集まりだったと、いまさらながら思います。札幌で行った打ち上げも楽しかったです。こういう、集まりも良いモノです。似たようなところでは昨年の12月に、阪大のフォトニクスセンターで子供科学教室をしたのですが、ひょんなことから責任者になってしまい、深く関わることになりました。光の科学教室なのですが、光は専門じゃないのでどうかなって思っていたのですが、学生さんたちが自主的にスゲーやってくれて、最終的に非常に良い科学教室になったと思います。あんなのに無料で参加できるのは、お買い得だと思います。お金というより、学生さん達があれほどやる気を出してくれるというのも、感動的でした。ひょんなことからかかわることになっただけなのですが、良い機会だったと思います。今年の1月には名古屋大学で開かれた子供科学教室でプラズマのデモをしたのですが、こちらは自分のデモをするだけなので気が楽でした。後は、新しく企業さんと共同研究を始めたりとか、いろいろやってるという感じかな。

あちらこちらに行くので、いろいんなところでいろんな人に出会いました。優れた研究者と話す機会をする機会は非常に重要で、分野が異なっていてもすごく刺激になります。共同研究者にも優秀な方が恵まれているなと実感してます。感謝感謝。

2010/9  ドイツの会議にて昼食中

 

2010年から2011年にかけて工学研究科のトップページに私の指が指名手配になりました

研究者として

eyelaから装置を買ったら、季刊誌みたいなのがおまけでついていました。化学の研究者のインタビューが載っていたのですが、師匠に教わった研究スタイルとして下記のような記述がありました。

「研究は人まねをしてはいけないと言うこと。人の後を追いかけてはいけないということ。独自のことをやらなければいけないということ。そして、研究は情熱を持ってやらなければいけないと言うことを教わりました。」

いたって当たり前であり、私も実践してきたつもりですが、これが出来ない人って多いですねぇ。私も師匠に言われたことで記憶によく残っているのは

「研究者としては、平均点を取ってもしゃーないので、とんがった特長を持つようにしろ。平均以下の部分はフォローしてくれる人が居てるけど、1つずば抜けた能力があれば、研究者として人に負けない。君は実験が得意なので、そこだけは人に負けるな。」

と言うようなことでした。結構、実践してるつもりはありますね。最近はいろんな異分野の方と共同研究していますが、専門知識では負けてても実験に関してはかなり負けてません。うまく楽しくやってるつもりです。

2月にデジカメが故障して買い換えるハメになったのですが、その最後に撮った写真がこれです。牡蠣祭りで大量にゲットした牡蠣などの海鮮を友人の家で調理して食べていたのですが、Wくんが寝てしまったので、シャコさんと記念撮影しておきました。まさかこの写真が、あのデジカメ最後の写真になるとはね。

JSTのA-STEPに採択(パチパチ)

JSTのA-STEPへ申請していた予算がやっと(半年以上かかったね)採択され、発表になりました。採択されるまでにはながーいながーい道のりがありましたが、無事に決まって良かったです。プラズマ医療の中でもプラズマ歯科治療に関する物でして、僕のグループここ数年の研究成果を最大限活用したテーマであり、結構面白いと思う。この国の支援を得ることでスケールをアップした研究になりますので、かなり前に進むはずじゃわい。せっかくのチャンスなのでバッチリ活かすぜぃ。

2ヶ月ほど前に「今年は少し大変だ」みたいな話をメル友の岡崎幸子先生にしたら、お守りを送っていただいた。それからこの採択の話が進んだので、これは真っ先にお礼を言っておいたほうがいいかなと思ってメールをしたら、電話をいただきました。プレゼントを贈ってくださるとのこと。孫みたいな年の離れてる研究者なのに、申し訳ないッス。感謝。

 

先週は、かなりタフだった。

月曜に東京へ上記関係の話で行ってきて、ついでに出版社の人と打ち合わせがてら終電ぎりぎりまでビール飲んでました。終電まであと15分の時点でビールを注文しているあたりは完全に飲まれていたかも。日帰り出張だったのでシンデレラエクスプレスで帰阪。

火曜には、朝は某社と打ち合わせをして、昼は研究室で仕事をしてから、夕方から所属している福田研究室のイベントで甲子園球場に行ってきて、金本がギネス認定されるのを見てきました。記念で下敷きをもらいましたが、この時代に下敷きってつかわないよな。

水曜からは再び出張が始まって、鶴見大の副学長さんと面談してからいくつかのプロジェクトに関して打ち合わせをしてから、飲みに行ってきました。名前が「パ-」で始まるホテルで過去に泊まった事があるところが2つあるので、酒に飲まれて道に迷いつつもなんとかホテルに到着。

木曜は朝から出版社の人と別の大学の先生とダッチコーヒーを飲みながら打ち合わせしてから、昼から中古屋理化学屋さんを訪問してきました。いろんな実験機材が置いていてすげー楽しかったです。しかも場所が共同研究先でよく行くところの隣の駅だったりするのでさらにハッピーでした。それから筑波のホテルへ移動。

金曜は午前中はホテルで携帯とパソコンを使って仕事三昧。ふとしたきっかけでまとまった予算を使わせていただけそうな感じになったので、いろんな業者に連絡して購入品目の検討をしたりする。それから、共同研究先の先生に迎えに来てもらってから、いろいろ打ち合わせをした。筑波大は共同研究をしているところが多いのですが、この研究室は優秀な学生さんを2人もつけてくれるということで感謝。こちらももっとがんばらねばね。それから、今回の出張のメインである、専攻セミナーで講演をする。きちんといくつか笑いも取れたし、けっこう興味をもって話を聞いてくれたようだ。講演時間も結構とってくれたので、気持ちよく話をすることができてすっきり気分。それから共同研究先の先生と打ち上げに行って、焼き肉とハイボールを満喫。今日の講演に関して、いろいろメモを取っておられたという話でしたがメモを見ると、間合いの取り方とかしゃべくりに関するものでした。見るところが違いますねぇ。

土曜は、普通に帰阪する。いろんな資料がメールで来てたので、新幹線で読んでたらスッカリ疲れて、自宅に到着。

こんな感じの1週間でドタバタしてましたが、いろいろ充実していて良かったです。久々にブログで生活実態を吐露したような気がする。その昔は、日記を書くのが好きだったんですけどねぇ。まだ裏でいろいろあるんですけどね。

プラズマフォトニクスとその産業応用

月刊オプトロニクスというところに原稿が載りました。プラズマ屋さんとしては滅多に原稿が載らないはずです。父親が光関係の仕事をしていた関係で、自宅に転がっているのを中高生の頃に読んでいたのを覚えていますが、まさかそのような雑誌に自分で記事を書かせていただく様になるとは思いませんでした。非常に光栄ですね。

記事の中身は某社とやっている共同研究の内容を主体にしております。この内容に関しては普段発表しないのでめずらしいかもです。雰囲気良くやらせてもらっているので楽しいです。大気圧低温プラズマの応用研究をいろいろやっていますが、ほとんどはラジカル生成手段としてつかっているんですが、この原稿でのようにフォトニクス応用っていうのも出来るのですよねぇ。NDAもあるので、あまり詳細は言えないところもありますが、原稿にさせてくれる太っ腹さに感謝。ノーベル賞を取る会社はひと味違いますね。

月刊OPTRONICS 5月号表紙

一家に1枚 未来をつくるプラズマ

文部科学省がやっている科学技術週間(http://stw.mext.go.jp/)というイベントが毎年あるのですが、その一環として科学技術を紹介するポスターを作っています。今年は”プラズママップ”を作ろうという話になって、長崎大学の藤山先生を中心にして制作委員会が作られ制作にあたりました(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/03/1292169.htm)。本当にいろんな学会からそれぞれ代表を出して集結した混成チームで、去年の終わりあたりから動き始めてようやく完成に至りました。おかげさまで、1月からだけでも名古屋に6~7回行きましたわ。かなり大変でしたが、無事に出版されて良かったです。PDFはhttp://stw.mext.go.jp/の右上からダウンロードできます。

コンセプトから考えるので、すごく時間がかかりました。似たような物をもう一度作れと言われたら比較的簡単にできるますけどね。この辺は論文にも通じるところがありますね。同じ研究はできるかもしれないけど、オリジナルで発想するのはかなり大変だもん。

 

2010/4/1 一家に1枚 未来をつくるプラズマ